2013年11月14日木曜日

電車の中の幸せ

東横線、日中はがらがらでのんびりしています。
向かい側の席に中年の女性がひとり。考え事をしているのか、難しい顔。

隣にバギーを押した若い母親が座りました。バギーに赤ちゃんを乗せたまま、赤ちゃんの顔がよく見えるように、向き合うようにバギーの向きを変えました。そして赤ちゃんに目で話しかけ、幸せそうに微笑んでいます。本当に幸せそう。私のところから見えないけれど赤ちゃんもきっとお母さんを見つめて笑いながら言葉にならない言葉で話しかけていたのでしょう。見ている私もとても幸せな気分になりました。

でも、バギーのその向きだと結構場所を取るので、ガラガラで空いている電車とはいえ、通路の半分以上を塞いでしまいます。私は、ちょっとハラハラしました。だって、乗客が何人もそのバギーを避けるようにして右から左、左から右へと移動して行くのですから、「じゃまだな」と思う人もいるんじゃないかと。でもそれは杞憂でした。

赤ちゃん連れにはバギーがすこしぐらい場所を取ってもしようがない、という感じで、みんな当然という風にバギーにぶつからないよう、よけながら通って行きます。

そして、左隣に座っていた難しい顔だった女性が赤ちゃんを見て、ニコッとして、そのお母さんと話し始めました。なにやら話が弾んでいます。お母さんと赤ちゃんの間のあったかい空気がその女性の周りも包みました。

しばらくすると、もう一人、別の女性が今度は右隣に座りました。そして赤ちゃんを見てにこっと笑って幸せそう。あのあったかい空気がさらに広がりました。

バギーを押したお母さんが来る前にはなかった愛にあふれた空間。言葉じゃない。愛情が、母の愛が、子の母を慕う思いが辺りを包んでいくのです。