2012年2月12日日曜日

マイナス19度

10日ほど前からヨーロッパ中が寒波に見舞われています。ここシント・アントニスでも一時マイナス19度を記録、その後もマイナス10度台をうろうろする日々。室内の窓ガラスが朝起きるとガリガリに凍り付いているのには、さすがに驚きました。運河が国中に張り巡らされているオランダでは、冬になると誰もが話題にするテーマがあります。

「Elfstedentocht、eleven cities tour, フリースランドの11の町をつなぐ全長200キロに及ぶスピードスケートの祭典が今年こそ開催できるのだろうか?」

コース全域の氷の厚さが全て15センチ以上であることが条件とあって(何しろ参加者16,000人の荷重を支えられるだけの厚さが求められる)、前回の開催は1997年、今年はこの寒波で15年ぶりの開催への期待が大きく膨らみ、オランダ中がこの話題で持ち切りでした。「開催が決まったらオランダ中がひっくり返るほどの大騒ぎになるんだよ。」と、興奮しながら語る友人、知人たち。

結局、開催は無理という主催者の最終判断で、それまでの日夜を分たず行われた人海戦術で
のコンディション整備に終止符が打たれました。

その日から、オランダ人は誰一人としてこの話題を口にしません。語り出したらああだこうだとそれぞれが持論を繰り広げるだけの不満や意見があるのでしょうが、それを決して語りません。「あの騒ぎは夢だったのだろうか」という様変わり。

それで思い出したのが、2年半前のワールドカップ決勝戦です。オランダが前評判通り勝ち進んで行き、それに比例してオランダ人のサッカーフリーク度は加熱して行った訳ですが、決勝戦でスペインに負けたその翌日の様変わり。あの時も「あれは夢だったのだろうか」と感じたのでした。

この二つの事例だけで、オランダ人気質を論じるのは甚だ乱暴かもしれませんが、私はかれらが「機を見るに敏」なのだと思います。というか、覆水盆に返らず、なら一切振り返らない、そういうことに時間と労力を使わないと皆が暗黙のうちに認識し合っていると言ったら良いでしょうか。同じような場面を仕事仲間との間でもたびたび経験します。何かを生み出すための議論はよいが、何も生み出さない議論の為にお互いの貴重な時間は使わない。まさに功利主義的オランダ人の真骨頂なのかなと思うこのごろです。
凍り付いた運河を船が通るたびに氷が砕かれて、水面全体がオンザロック用の氷状態

帰宅途中、降りしきる雪で沿道の家が全部粉砂糖をまぶしたお菓子の家になりました

氷点下19度まで下がった日の朝、窓ガラスの内側がこの状態でした



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